発達障害について

発達障害とは

発達障害とは、医学的定義では「乳幼児期あるいは小児期生じる、中枢神経系の生物学的な成熟に深く関係した機能障害あるいは遅延。後天的要因、家庭環境、しつけには左右されない」とされています。

発達障害は、わかりにくさが一番の特徴と考えられます。さらに発達障害はいつ分かるのか?

成長期から考えますと、生後すぐの場合、泣かない・ひどくなく・一人で寝かされても平気、あやしても笑わないなどである。2~3歳ごろになると、言葉が出ない・おもちゃなど一つのものに執着する・なめ前を呼んでも反応しない・視線を合わせない・偏食が激しい・言うことをきかない・落ち着きがない。

3、4歳ごろですと、言葉を覚えない・他人との感情の交流がない・こだわりが強い・かんしゃくを頻繁に起こす・じっとしていない・興味がクルクル変わる。義務教育の年齢ぐらいになると学習障害などが見られてくる。文字が読めない/書けない。落ち着きがなくウロウロしてしまう・こだわりが強くなり人の話を聞かない・自分の事だけを一方的に話す、などです。

 通常学級に在籍する、学習または対人関係に困難を伴う児童の状況は小学校1年生9.8%、2年生8.2%3年生7.5%、4年生7.8%、5年生6.7%、6年生6.3%。入学後、学年減ることで減少してきます。

障がいの程度から、重度の場合は特別支援学校が対象になります。視覚障害・聴覚障害・知的障害・肢体不自由・病弱・身体虚弱などです。小学校・中学校では特別支援級、前記の症状のほか言語障害・自閉症・情緒障害が対象です。通常の学級では通級での指導になります。学習障害・注意欠陥多動性障害、LD・ADHD・高機能自閉症等6.3%程度の在籍率になります。

 発達障害の分かりにくさからくる不適切な対応の問題があります。本人の努力では解決が困難な問題を抱えています。わかりにくさによる本人の自尊心を傷つけ、適切な対応を遅らせたりします。二次症状を重くするなども挙げられます。発達障害からくる2次症状には、行動面や心身に現れることがみられます。鬱症状になる、暴言を吐く、暴力的になるようなことです。

発達障害の分類と特徴

・LD(学習障害)

 発達「障害」の捉え方は、発達のアンバランスさ+不適応から発達障害につながります。まず学習障害,LDです。学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算するまたは推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す状態を指すものです。学習障害はその原因として、中枢神経に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。(文科省「発達障害児に対する指導について(報告)」)これらの考え方は20年遅れているとも言われています。大切なことは何に困っているか、発達障害は医療診断ではないということです。

 DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)では、特異的学習障害として「読みの障害」「書き表現の障害」「算数障害」と表記され、軽症、中等度、重度に分類されています。

ゆえに「LDのつらさ」には、

①読み書き算数に見られる学習能力の困難

②聞く話すなどコミュニケーション能力に見られる困難

③運動面の困難

④集中や持続の困難

⑤衝動性や多動性による困難

などがあります。外見は普通でも内面は様々な困難を抱えています

・AD/HD(注意欠陥多動性・注意欠陥多動性障害)

 次にAD/HDですが、注意欠陥多動性、注意欠陥多動性障害と定義されるものです。年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力及び衝動性、多動性を特徴とする行動障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものです。また、7歳以前に現れその状態が継続し、中枢神経に何らかの要因による機能不全があると推定される。としています。

文部科学省「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)

 教室内の行動では、自分の座席にじっと座っていない。人の話に断りなく口をはさむ。教室での課題が時間内に終了しない。ケアレスミスをしたり、作業が雑である。校則を守れないなどが見られます。他には、宿題を忘れる、途中でやめる。口頭での指示に従えない。気が散りやすくフラストレーションを感じやすい。状況に過度に反応する。日常の決まった行動パターンが確立しにくい、などです。

・自閉症スペクトラム、自閉症スペクトラム障害

 三つ目に、自閉症スペクトラム、自閉症スペクトラム障害です。コミュニケーションや言語に関する症状が見られるものです。自閉症と言われると、しゃべれない人、みたいな誤解があります。様々状態の連続体として包含する診断名になります。自己中心型で自分の興味関心を優先させ、相手の話をなかなか聞けない状況です。自閉症とは中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定され、知的機能の発達の遅れを伴わないものです。言語発達の遅れを伴うものには、友達ができない・興味に偏りがある・言葉数が極端に少ない・空想と現実の切り替えが難しい・独特の手順があり、変更変化を嫌う・不安が強いなどです。言語発達を伴わないものには、特定のものごとについて詳しい・大人びた口調・正義感が強く、「注意魔」である・自分の思うとおりにならないとパニックになることがある・友達ができにくい。境界線にいると判断される場合は、友達は作れるが、上手く遊べない・集団行動が苦手・感情を表現することが苦手・人の意見を聞かず自分勝手なことをいう・「行間」や「場の空気」を読むのが苦手、トラブルになることが多い。発達障害の関係性から見れば境界線が分かりにくく、境界線がないと考えることになります。なので本人が何に困っているのかを知ることが大切になります。 

発達障害の判定方法

 発達障害の判定には、保護者からの聞き取り、3ケ月以上の行動観察、知能検査WISCなどです。発達障害と疑う前に、その子どもを取り巻く環境はどうなのか?学校での生活と家庭での生活の違い、保護者による学校での生活観察などを十分に配慮した上で判断することも大切です。愛情不足や愛着障害など、客観的に判断できることが重要です。思い込み、決めつけ、どのように接するのか、会話が成立するときはいいが会話が成立しないときの不安など様々です。「あれっ?」と思った時が相談のタイミングです。早めの対応と医療機関に相談することも必要です。  

発達障害の支援の考え方

発達障害本来の特性とそうでないもの

本来の特性は、

ー 対人関係・コミュニケーション・こだわり・感覚異常・活動のパターン化(ASD)

ー 多動・衝動・不注意(ADHD)

ー 読字・書字・計算(SLD)

ー 粗大運動・微細協調運動(DCD)

などがあげられますが、

本来の特性でないもの

ー 感情・情緒の変動

ー 睡眠の異常

も発達障害の特性と捉えてしまっている傾向にありあす。

しかし、発達障害の「症状」は自然経過では悪化しません。

ほとんどの場合、悪化しているのは環境との相性が要因です。

例えば、クラス替え、部署の異動、担任や上司の交代、教育方針の変更、友人の態度の変化などです。

そのため、本人の特性に合った環境で本人の特性に即した支援が重要になってきます。

発達促進のポイント:共感と合意

個々の発達特性に応じた課題設定
  1. 本人が興味をもって取り組める手法で
  2. 少しの努力で短期間に達成可能な目標を
  3. 苦手な事を無理させず、自信低下を防ぐ
本人が他者に気軽に相談できる環境の提供

家族・先生・それ以外の人との信頼関係を築き、困ったらすぐに相談できる状態をつくっておくことが大切です。

本人が「自分が何者であるか」を知る

自分で出来る事とできない事が判断できる「自律スキル」。

できない事について他の人に援助を求めることができる「ソーシャルスキル」

を育ていることで、日常生活がスムーズに変化していきます。

そのためには、視覚的構造化が有効です。

  • 「見える化」でわかりやすく
  • 十分な情報のもと自己決定
  • 同意、拒否の自由を保障
  • 拒否の場合、別の選択肢を相談

思春期・青年期の親の関わり

よかれと思って行った親の助言は、ほぼすべてが逆効果となる傾向にあります。親は、共感しながら試行錯誤に付き合い、情報提供と考えの整理は行うが、助言は控えた方がいいです。

試行錯誤では、定期的に方針を見直しが必要です。

  • 方針の候補を2つ以上考えておく
  • SOSのサインに敏感になる
  • 失敗しても、絶対に本人を責めてはいけない

本人の自己決定力と相談力を育てる

  • 自由な選択と決定の保障
  • 親は可能であれば情報を得る相手になる
  • 教師は可能であれば助言者に
  • 親や教師以外の相談相手が時には必要
進路選択の時期にはこの体制が必要!

過剰適応への対策

発達障害を持つ子供は、自分のやりたいことや都合を過剰に我慢して、周囲に合わせることを無理に頑張り過ぎてしまう傾向にあります。

  • 好きなこと、やりたいことよりも、やらねばならないことにこだわる
  • ストレスがたまりやすいが、他者には分かりにくい
  • 「意欲的にふるまう」という過剰適応行動もある
  • 後で、極度に疲労感を覚える

そのような特性を持つ子供の対応としては、

  • 自ら希望していなのに、新しいチャレンジを促してはならない
  • 方針を視覚化し、アドリブは禁止
  • 本人が無理なくできて、意欲をもてるものだけを提示する
  • ステップアップを急がない

疲れやすい人への対応

「過剰適応行動」を続けている人は

対人関係は一般の人の何倍も疲れを感じいます。また、楽しく過ごしていも後から疲れを感じます。(大人でも、仕事はよくできるのに週5日働くと疲れが取れない人もいます)

そのような人の対応としては、

  • 休み時間や休日を自主的に入れて構わない
  • 登校(勤務)の日数や時間の増加を支援者から勧めない

夢作志の支援体制

・個別相談(予約制)

随時受付中:初回無料・日時要相談

発達障害を持つ子供対応、不登校、学校への行き渋り等々、困っていることをお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。日程調整のため、申込フォームから予約をしてください。

・知能検査(WISC検査)

発達障害を持つお子さんの特性を活かした対応するためには入念なアセスメントが不可欠です。その一つが、客観的なデータに基づいてお子さんの行動様式が分かる知能検査です。夢作志では知能検査を受けた後の解説から具体的な対応までお伝えしています。

【M-Lab:夢作志教育研究所】

①学齢期の学習支援&ソーシャルスキルトレーニング
  • 学校の授業についていけない(定期試験100点以下)
  • 学校生活が上手くいかない 

発達障害を持つお子さん、グレーゾーンと思われるお子さんの学習支援・ソーシャルスキルトレーニングを行っています。

②社会人コース
  • 職場・大学・専門学校などでの人間関係で悩んでいる
  • 会社が長続きしない
  • 成人した子供の引きこもり

会社や学校へ行きながら通うことができます。職場や学校での困り感や人間関係の悩みを解消。会社を続けるための支援や、社会復帰のための自立訓練を行います。

【フリースクール】

学校へ行きたくても行けないお子さんの居場所。発達障害を持つお子さんも通っています。夢作志のフリースクールに継続して通うことができるようになると、学校の出席扱いになります。(在籍校の学校長判断)

不登校・学校への行き渋りでお困りの方、是非お気軽にご相談ください。

対象学年:小1~中3生

【通信制高校】

星槎国際高等学校と連携し「通える通信制」「少人数制」の通信高校夢作志学院です。発達障害を持つお子さんも専門の資格を持つスタッフが対応しています。お気軽にご相談ください。