先日、映画『ラーゲリより愛をこめて』を見てきた。シベリアの捕虜収容所の話で、元嵐の二宮君が主演の映画だ。ソ連が日ソ不可侵条約を破棄して満州を空爆する映像がオープニングだった。家族が離れ離れなる。父親が「こうして家族で食事ができる今が一番大切」と力説する。
収容所生活では仲間たちから絶大な信頼を受ける。そんな時病気にかかり、余命3ヶ月の運命となる。家族は父の帰国を首を長くして待っている。『ダモイ』を合言葉に収容所の捕虜たちは希望を捨てずに生きていく。『ダモイ』、ロシア語で『帰国』を意味する。仲間たちは余命のない主人公に、家族に遺書を残すことを勧める。遺書は書けるが、ソ連兵に見つかると文字はスパイ容疑として逮捕されてしまう。案の定、隠した遺書はすべて見つかって取り上げられてしまった。この事態を予測していた仲間たち4人は、全ての遺書を4つに分解して、それぞれが、遺書の文章を朗読できるまで暗記した。帰国後、遺族の家にそれぞれ4人が出向き、父親の遺書を文章にして届け、その場で朗読する。この映画は戦争映画ではなく、出口の見えない今を生きる人たちに向けたメッセージだと痛感した。
私の父親は、そのシベリアで収容所にいた人物だ。遺品の中には竹下総理からの3段重ねの金杯があった。映画を見てあの長く苦しい生活が金杯。それを思うと私の父親は何を遺族に伝えたかったのだろうか。
親孝行には厳しい現実が付きまとう。