世の中には、説明しにくい言葉が結構存在する。
「幸せ(しあわせ)」がそうだ。
何を持って「幸せ」なのか。歌やドラマでも「幸せ」をテーマにしたものも多い。にもかかわらず、人に「幸せって何にですか?」と聞かれると答えにくい。
2019年に作られた『ブータン山の教室』という映画では、幸せとは何だろう?と視聴者が自然に感じてしまうものがる。特に幸せを解説めいたシーンがあるわけではない。押しつけがましいものがないのも不思議だ。
映画に出てくる村は、富士山よりも高い標高4000m以上の山の上にある。その村に歌手志望の青年教師が都会から赴任して、子どもたちと交流する。これだけなら普通の映画だ。大自然の中で生きる村人たち。子どもたちは勉強したくても、場所も、文具品もなく、先生もいない。黒板は壁、ノートはくしゃくしゃの紙。それでも子どもたちは、生き生きと勉強し先生を慕う。特別な場面もなく特別な意味を持つ描写もない。決して裕福ではないが、それを誰も気に留めず生き生きとしている。映画の最後に、青年教師がオーストラリアのバーで歌を歌う。流行りの歌だ。しかし誰も聞いていない。青年教師はギターを置き、歌うの止めた。お客は話を止め青年教師に注目する。そこで青年は歌い始めた。ブータンの山の上で教えてもらった歌だ。その歌はブータンを守るようにそびえたった山々に捧げる歌だったのだ。映画はそのシーンで終わる。
ブータン幸福度世界一といわれる国である。私が感じる「幸せ」をここに載せるより、この映画を見て感じてもらえれば幸いだ。
この映画の中で、私は教師になった理由が描かれていたのは驚きだった。