月の兎

今年の干支は兎である。

ウサギというと、小学生時代に学校で飼育していたことが思い出される。

ウサギは色々な所で登場する動物である。『不思議の国のアリス』「ピーターラビット』『うさぎとかめ』の昔話など。

お月様の話になると、お月様を見上げてみるとウサギがお餅をついている姿が見えるという。私は小さいときから、月を見てもウサギが見えたことはなかった。皮肉れものだった。

なぜ月にウサギなのか。これは仏教の説話に繋がっている。帝釈天がよぼよぼの老人に化け、ウサギ・サル・キツネの前で「何か食べ物が欲しい」と伝えたところ、キツネは川に行き魚を獲ってきたり、サルは木の実を採ってきたり、村人から野菜や畑のものを盗んで食べ物を集めてきた。一方ウサギは野山を駆けずり回って探したが、何も集めることができなかった。戻ってみると、サルとキツネはウサギを罵った。ウサギは自分が集められなかったのを申し訳なかったと、代わりに自分を食べてほしいと、囲炉裏の中に身を投じたという。その時に帝釈天は本来の姿になり、ウサギの善行を称え、人々にウサギの善行を忘れないようにと、月にウサギの姿を残したという。月にウサギはこの話が背景にあるらしい。

そんな気持ちで月を見られる日が来てほしいと願っているのは私だけだろうか。